子供の頃、太陽からの光が物に当たると、一部は吸収され残りは反射すると教わった。物に吸収された光は、その後、物の中でどうなるのだろう?と思った。当時は答えを見つけられなかったが、ずっと気になっていた。 専門書では難しい数式がひしめいていて理解できなかったし、一般向けの解説書では好奇心を満足させてくれるだけの答えは得られなかった。 最近は、数式を使わずに物理の詳しい解説をしてくれる本が出るようになった。専門的な知識で理解できたわけではないが、物に吸収された光の行方をようやく辿れるようになったことは、子供の頃からの夢が叶ったようで嬉しい。 |
第1章 電磁波 |
第2章 電子軌道 |
第3章 雷 |
第4章 |
第5章 |
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§1.光は電磁波という波である。 電磁波とは光や電波のことで、電場 (電気の影響が及ぶ範囲) と磁場 (磁気の影響が及ぶ範囲) の変化が交互に空間を伝わる現象のこと。
真空中を伝わる電磁波の速度は秒速約30万kmで、当然それが光速度である。 電気と磁気の性質はよく似ている。 電場とは、電気力をおよぼすことのできる空間のことで、電場に電気をおびた物体をおくと、その物体は力を受ける。電場の様子は電気力線を使って表し、正の電荷から負の電荷へと向かう線として書く。電荷のないところで途切れたり二つ以上の電気力線が交わったりすることはない。 ★電気力線は目に見えたり数えられたりする実際の線ではなく、方向が場の方向、力線の密度 がベクトルの大きさを表す。力線はゴム線のように張力を持ち、力線どうしは互いに反発して 広がる性質がある。力線は途中の空間で発生や消失をせず、枝分かれや合流をしない。
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では、磁場ではどうか。 上のAの図と同じような模式図であらわされる。+と−のかわりにNとSが入る。つまり、磁場の様子は、N極からS極に向かう線・磁力線で書かれる。磁場に小さな磁石を置くと、磁力線の方向に磁力を受ける。 ただし、まだ単独のN極やS極は見つかっていない。 ★磁力線も電気力線と同様、場の方向とベクトルの大きさを表したもの。 |
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(3)磁力線の模式図 | |
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電場も磁場も、距離が離れていても力を及ぼせること、距離が離れるほど力が弱まることも同じである。 |
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§3.電気と磁石の関係 |
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@ コイル(電気の導線をらせん状に巻いたもの)に電流を流すと、その周囲に磁場が生じ電磁石になる。電流が流れるとその周囲には磁場が発生する。 また、電場が変動 (交流、放電など) しても周囲には磁場が発生するので、電場と磁場には深い関係があるのが分かる。 これをレンツの法則という。
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§4.電磁気学の基本法則 電場と磁場について基本的な法則を数学的な方程式に表したものがある。 マクスウェル方程式だ。 ※上の(2)〜(3)図を参考
詳しくは下記URLを参考↓ マクスウェル方程式 |
§5.電磁波とは? 上で記したように、磁場(磁界)が変動すると電場(電界)が発生し、電場が変動すると磁場が発生することがわかった。つまり、電磁波は、空間の電場と磁場の変化によって発生するのだ。 電場と磁場がお互いの電磁誘導によって交互に相手を発生させあうことで、空間そのものが振動する状態が生まれ、その電磁場の連鎖的な変動が周囲の空間に横波となって伝播していくことになるのだ。(これはあらゆる方向に放出される球面波である) 電磁波はエネルギーの放射現象の一種で、電磁放射とも呼ばれている。 例えば、進行方向にアンテナが立っていれば、そのアンテナには電磁波の電場の向きと大きさに応じた電流が流れる。電磁波がアンテナを通過していく間には、電場は振動するので、電流の向きと大きさも振動するからだ。電磁波は電子を動かすことは先に書いたが、これは電磁波は電子に運動エネルギーを与えることが出来るということで、電磁波はエネルギーを運ぶとも言える。 一度発生した電磁波は、源の電流がなくなっても伝播していく。 電場と磁場が発生する振動方向はお互いに直角であり、また電磁波の進行方向もこれと直角である。基本的には空間中を直進するが、物質が存在する空間では、吸収・屈折・散乱・回折・干渉・反射などの現象が起こる。また、重力場などの空間の歪みによって進行方向が曲がることが観測されている。 |
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§6.電磁波の性質 電磁波は§1でも書いたように波長の違いから、電波からガンマ線まである。真空中を伝播する電磁波の速度は波長に関係なく約30万キロメートル毎秒である。 物質(媒質)中の電磁波の速度は、物体の屈折率によって変化し、屈折率は電磁波の波長に依存するため、物質中での電磁波の伝播速度は波長によって異なってくる。 電磁波の性質は、波長、振幅(電磁場の強さは振幅の二乗)、そして伝播方向と、偏波面、偏光の状態で決められる。 |
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§7.電磁波の物質への影響 電磁波が電子を動かすことは分かった。物質を構成している電子(マイナス)と原子核(プラス)のうち、質量の軽い電子は電磁波によって揺り動かされやすいが、重い原子核(電子の約1800倍)は動かされにくい。 波長が1mm〜1mのマイクロ波は水分子を回転運動させて加熱させる。赤外線は、物質中の分子を揺り動かして物体を暖める。これらは、電気的なかたよりを持つ分子や3つ以上の原子からなる分子を揺り動かしている。(電子が揺り動かされると、その結果分子全体も揺り動かされるからだ。) 可視光は目ノ網膜細胞中の視物質中の電子を揺り動かすことが基で脳に信号を送り、目に見える形として作用する。 紫外線・X線・ガンマ線は、分子中の電子を弾き飛ばしてしまい、化学結合が壊されたり、原子をイオン化させてしまう。人体では、DNAが切断されて傷ついてしまう。 電磁波が物質中の電子を揺り動かす際には、電磁波の一部は物質に吸収される。物質は電磁波の一部を吸収してエネルギーを受けとるとも言える。 |
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§8.電磁波の放出 電磁波が物質中の分子を揺り動かしてエネルギーを渡しているが、その逆に、物質もその温度に応じた電磁波を放出する。 人の身体は赤外線を放出しているし、白熱電球のフィラメントは2000〜3000度Cにもなるので、赤外線の他に波長の短い(エネルギーの大きい)可視光も放出している。物質の温度に応じた放射を熱放射といい、物質の温度が高くなる程、波長の短い電磁波を放出するようになる。恒星の色も熱放射である。星の表面温度が3000度C位だと赤く見え、太陽の6000度Cだと黄色、10000度Cだと青く見える。熱せられた物体からの電磁波の波長は連続分布である。 ※星の色は、可視光領域の中の最も強く放出されている波長が、その星の色に見えるのであって、 高温の物質からは波長の長い電磁波も多く放出されている。つまり、電磁波のスペクトルが可視 光にあるわけではない。
物質を構成しているそれぞれの原子も特有の色を出す。金属元素の炎色反応に見られる炎の色の違いは、各金属元素が高温になると出す特有の波長の電磁波である。 気体を放電管の中に入れ電圧をかけると、その気体特有の色を放出する。水素は青紫がかった白 、ナトリウムは黄色 、ネオンは赤、で発光する。これらは特定の波長を持つ線スペクトルになる。 |
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§9.電磁波発生のメカニズム @熱放射 物質が温度により電磁波を放出するのは、温度が高い程、物質を作っている原子や分子が激しく運動しているからである。 熱とは、この原子や分子の運動なのだ。では、なぜ原子や分子が運動すると電磁波が発生するのか? 電流が振動すると電磁波が発生するが、電流は電子の流れであった。つまり、電子が振動すると電磁波が発生する。電子の他にも、陽子やイオンなどの電化を持った粒子(荷電粒子)が振動しても電磁波が発生する。 物質がエネルギーを受け取ると、そのエネルギー量に応じて物質が熱運動、つまり、原子や分子が振動したり回転したりしている。これは、荷電粒子が揺り動かされているということだから電磁波が発生するのだ。 A元素からの電磁波 §8のように、炎色反応や線スペクトルは、その元素特有の色を放出する。これは、元素の電子の軌道に関係する。 電子の軌道については、次の頁で説明。 |
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