第 2 章   電 子 軌 道

§1.電子の軌道

 軌道を簡単にあらわす時は、下図のようにように書かれる。原子核の周りの電子は、電子殻といういくつかの層に分かれて存在している。原子核から近い順に、K殻、L殻、M殻、N殻…となる。それぞれの電子殻に入ることのできる最大の電子数は決まっている。

                       (6)電子の軌道
.

 上の図で見ると、電子が電子殻という円上を回っているようなイメージを受けるが、実際は電子が動いている明瞭な軌道があるわけではない。電子の存在は、電子が発見される確立でしか表せない。つまり、電子がこのあたり発見される確率が高いとか低いといった表現で表される(ただし、電子が見つかる確率が高い場所をつなげると軌道の形になるというだけのことである。)


                  (7)水素電子の軌道

 では、電子は発見されるまで雲のようにもやぁと広がっているのかというと、そうではない。電子は量子力学で計算できる軌道範囲にしか存在できないけど、では、見つかる確立のある場所のどこか一点にあるのかというと、それも違う。

 つまり、発見されるまでは、見つかる確立のある場所のどこにでも共存しているのだ。では、たくさんあるのかというとそれも違う。電子が発見される時はひとつの粒子だけなのだ。

 発見された途端に共存している状態は消え、ただ一箇所だけに発見される。
 私達の暮らすマクロの世界の常識で考えてはいけない。ミクロの世界は、ミクロ世界のルールがある。

§2..励起した電子が下の軌道に移る時の電磁波発生

 通常の安定した原子は電磁波を放出しない。元素が外部から電磁波を吸収すると、電子が軌道のエネルギー差に等しい波長のエネルギーを受け取り、エネルギーの大きな軌道に乗り移る。しかし、電子はすぐにエネルギーを放出して安定になろうとする。この電子がエネルギーの小さな軌道に移る時に電磁波が放出される。

 この原子内の電子軌道が変化することを電子遷移と呼び、電子が高エネルギー状態のときを励起状態と呼電子が高エネルギー状態のときを励起状態と呼び、電子が元の低エネルギー状態のときを基底状態と呼ぶ。

                      (6)電磁波の吸収と放出      
 原子核は電子に比べて非常に重たいので、電子遷移は核が対応できないほど速く起こる。

§3.蛍光と燐光
 
 原子から電磁波放出されるのは、エネルギーの小さな軌道上の電子が大きな軌道に持ち上げられ、そしてその電子が再び小さい軌道に戻るからだった。どのくらい大きな軌道に移っているかは、電子の種類や、どの軌道に電子が励起されるかによって違う。電子殻はいくつかの層に分かれていて、いろいろな励起状態になりうるからだ。
 10億分の1秒から10万分の1秒の短い時間で小さな軌道に乗り移る(励起一重項から
安定状態に移る)時に放出される電磁波を蛍光という。この時の波長が可視光線の領域にあれば、発光して見えることになる。
 1000分の1秒から10秒と長い時間でゆっくり小さな軌道に乗り移る(
励起状態から三重項状態とよばれる準安定状態に移り、ついで安定状態に移る)ものは燐光という。
 これらの時間は、だいたい電磁波を放出している時間に対応する。両方をまとめて
ルミネッセンスともいう。
 
 ルミネッセンスは、受けるエネルギーの形で何種類かに分かれ、光、熱、酸化などの化学エネルギー、電磁波、電界、摩擦がある。熱を伴わない発光なので、冷光といわれる。

一般に、光の放出は原子が光を吸収した直後に生じる。水素原子の場合は、基底状態に近く準位がまばらな状態を考えることが多いが、実際の原子では、外殻の状態密度が高い領域での遷移が生じることが多いので、励起状態から基底状態に戻る際には、エネルギー差の小さい状態へと断続的に落ちていくことになり、放出する光は波長の長いものになる。こうした光の多くは赤外領域に属するため、見えない熱放射として放出されている。

 水素原子の電子の遷移では、基底状態よりひとつ上の軌道に電子が移るパルマー系の時に放出される電磁波が可視光線になる。

 (6)水素原子の電子の遷移
(7)パルマー系列



3番目から2番目へ=

4番目から2番目へ=

5番目から2番目へ=

6番目から2番目へ=

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