遠ざかる月




太陽の沈んだ世界は
たちまちのうちに暗闇に閉ざされる

心細くなる心に月光が照らしてくれる戻り道
月に守られているような不思議な安堵感を覚えた

 人間は電気という明かりを手に入れた
その恩恵は絶大であったけれど・・・
払わねばならない自然への代償は
あまりにも大きかった

 人間は自然への感謝を忘れさり
自然を意のままに操ることしか考えなくなった
人間のおごりは種としての短命さを予感させる

 少しずつ地球から遠ざかっていく月は
変わりゆく地球を照らす光をためらっているかのようだ



◇月と地球は互いに作用し合う

 太陽系には、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天皇星、海王星の8つの惑星があり、それぞれの惑星にも、地球と月のように衛星がある。
中でも月は、直径が地球の約4分の1、質量が80分の1で、これは惑星に対する大きさの比率としては圧倒的に大きい衛星である。そのため、月と地球はお互いに作用しあい影響を及ぼしあってきた。

 月が誕生したのは46億年〜40億年前で、今は38万km離れている月も、当時は地球から2万kmという近さにあったと考えられている。

 どうやって月ができたのか についてはいろいろな説があるが、月の組成データなど、さまざまなデータと矛盾しない「ジャイアント・インパクト(巨大衝突)説」が有力とされている。地球と火星サイズの別の原始惑星との衝突によって生まれたというものである。

 その後、月は地球から少しずつ遠ざかっている。


 今、地球から見る月は、太陽と同じ大きさ (みかけの大きさ) に見えている。そのため、太陽を月が上手く隠すことができて、皆既日食や美しい金環日食を見ることができている。

 月が地球から離れていくのは、実は月と地球が互いに強く作用し合っているからである。
月からの影響は、当然、生物も受けているのだが、月が遠ざかっていることの説明をすれば、
角運動量保存法則潮汐力である。他にも宇宙膨張説や物質収縮説などもあるが、それは、まだ一般的ではない。


◇角運動量保存の法則

 自然の法則とは、人間が自然を注意深く観察することによって分かった事実、状況が変わってもその奥底に成り立つ普遍的事実である。万有引力の法則など。

 
角運動量保存の法則とは、外界からの何か力が働かない限り、同じ力学系に属する物体の角運動量は保存されるというもの。
 角運動量は、ある点を中心に物体が回転しているとき、その(中心からの距離)×(物体の質量)×(物体の速さ)で表される。

 分かりやすい例としてよく出されるのが、フィギュアスケートの回転である。フィギュアスケートの選手が、腕を広げて回転しているときに、腕を閉じると、回転する速度が急に速くなる。これは、手を縮めることで中心からの距離が減ったことによる。質量(選手の体重)は変わっていないので、角運動量保存の法則を満たすために、速度が上がるからだ。

※角運動量= (中心からの距離)×(物体の質量)×(物体の速さ)

 地球と月は、力学的には1つの物体として見なすことができる。それは、月が地球の周りを回っているからである。正確には、地球の自転と月の公転の角運動量の合計が保存されるということになる。



◇潮汐力は月にも地球にもかかっている


 地球の月に対する引力によって、月は自転と公転の周期を28日にそろえて、地球に表の面だけしか見せない。月もまた、地球に対する引力があり、それを最も直接的に感じるのが、潮の満ち引きである。

 地球の重力は月を引っ張り、月の重力もまた地球を引っ張る。この地球と月の間の引力により、
潮汐という力が働く。潮汐力とは、物体に働く重力の差によって、その物体を引き伸ばす力である。
 

 月から受ける引力は、月に面した側が大きく、反対側は小さい。また、中心はその中間の引力となり、地球はゆがんだ形になろうとする。
海は固体に比べ自由に形を変えられるので、月の方向に海水が膨らんで潮の満ち引きが起こる。地球そのものも潮汐力によってわずかにゆがむが、固体なのでごくわずかである。


地球の自転にブレーキがかかることで、月は地球から遠ざかっていく


 しかし、、実際の海水の膨らみは、月の方向から少しずれる。
地球は、月の公転に比べて27倍の速さで自転しているからだ。地球の早い自転は、最も高い潮を月の真下から進行方向に引きずる。いくら海水が流れやすいといっても、海洋の海水は大量なので、膨大な慣性の力があるし、大陸があれば妨げられる。

 このように、海水の膨らみが月の位置に対して先行していく。
そして、この海水のふくらみの部分が、月に引っ張られることになる。つまり、地球の自転が月に引っ張られて、ブレーキがかかることになるのだ。

 他の地球の自転が遅くなる原因としては、地球の自転による海水と海底の摩擦や、海水が地球よりも遅れて動くために、自転と逆の方向である西側大陸とぶつかる摩擦なども地球の自転を遅らせることになる。


 こうして、地球の自転は少しずつ遅れていく。
地球の自転のスピードが遅れるということは、地球の自転が持つ角運動量が少なくなってきていることを意味する。

 最初に地球の自転の角運動量と月の公転の角運動量の合計は保存される(変わらない)と述べたように、地球の自転の角運動量が減れば、その分、月の公転の角運動量が増えることで角運動量保存の法則がなりたつ。
角運動量とは (中心からの距離)×(物体の質量)×(物体の速さ)である。月の公転の角運動量が増加するということは、月の質量は変わらないので、半径(地球からの距離)が増加していくことになる。


 
月は1年に約4cmずつ地球から遠ざかっていく。




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