☆オーロラの話

第二章  オーロラのしくみ     ──地上で体験できる最も美しい現象──


4. オーロラ放電をおこす発電のしくみ・・・・エネルギー源

 自然の放電現象といえば雷、あのゴロピカドンに子供の頃はあわててお臍を押さえました。(若い人は知らないでしょうが(^^;  そのエネルギー源は、雲の中で水蒸気などの摩擦によっておこるのではと言われています。

 オーロラも超高層でおこる放電現象ですが、そのエネルギー源は太陽風と地球の磁場の総合作用でつくられています。「2.オーロラの光るしくみ」のところでも書きましたが、MHD発電といわれるものです。ァラデーの発見、そしてあのフレミングの左手の法則を思い出せばOK。

 地球の磁場は南北に双極子があり、磁力線が南から北へ向かっています。地球は磁気圏にすっぽり包まれていて、太陽風は侵入できません。これは磁場に対して垂直方向の荷電粒子(太陽風)は進路が曲げられるからです。
 しかし、彗星の長いシッポからも想像できるように、太陽風の影響はけして小さくなく、地球の太陽側の磁気圏は押しつぶされ、反対側(夜側)は月の軌道をはるかに越えて遠くまで引き伸ばされています。

4−1.オーロラ発電所・・・MHD(magneyohydrodnamic)発電

 太陽風は、太陽磁場も一緒に運んできます。この磁場の方向は、太陽の表面を離れる時の方向によってきまるともいわれています。地球の磁場は北向きです。もし、太陽の磁場が南向きであれば互いに手をつなぐことになります。磁力線のつなぎ換えがおこなわれるのです。
 この結合された磁力線の中を高速の荷電粒子が横切って流れる事で、起電力が生み出されます。これは、MHD発電機(電磁流体的発電機)とよく似ています。
 起電力とは、電気回路に電流を流す電気的な力のことです。この作用で、
磁気圏の尾部電流が強まり、磁場エネルギーが蓄えられます。

4-2.複雑な電気回路


太陽風は陽子(プラス)と電子(マイナス)を持っていますが、磁気境界面を吹くとき、磁場によって、陽子は朝方側に電子は夕方側に向かって動きます。そのため、朝方側がプラスに、夕方側がマイナスに充電されます。そして、電流はプラスの端子から地球の南北の朝方側の極冠電離層に流れこみ、夕方側の電離層からマイナスの端子へ流れ出ています。これを「1次電流系」といいます。

 地球の磁力線は、極を囲むように円になっています。電子は、希薄なプラズマの中では、磁力線に沿ってらせん状に巻きつくように運動します。つまり、この電子が磁力線に沿ってオーロラ放電の電流を運んでいるのです。しかし、実際の放電回路はもっと複雑で、「第二次電流系」や別の回路がもっとあるようです。
4−3.電子の供給源

 電流の流れと電子の流れは逆向きなので、朝方側に流れ込む電流は、電離層から上向きに流れる電離層電子によって運ばれています。夕方側に流れ込む電子は、磁気圏内の電子です。極冠内では、電離層電子が電流を運んでいます。
 
5.磁気リコネクション

 オーロラはドーナツ型なので、もちろん昼(太陽側)にも出ていますが、夜側のほうが活発な動きをしているようです。太陽風の荷電粒子は、磁力線が開かられたところから入り込み夜側に回り込みます。そして、プラズマシートにたまります。太陽側の磁気圏は押しつぶされて磁場が強くなっているの対して、反対側の夜の方は、太陽風に流されて長く引き伸ばされているので、磁場は不安定になり、弱くなっています。そのため、プラズマがたまりやすくなっています。そして、夜側で磁気リコネクションが起こり、オーロラを光らせます。

長く引き伸ばされたプラズマシート
@プラズマシートの赤道面では互いに反対方向を
  向く磁力線が接近しており、不安定な状態にな
  っています。
 ※プラズマシート
   夜側の赤道面に沿った薄いプラズマの層。
   太陽風のエネルギーをたくわえた、熱い荷電
   粒子で満たされています。
磁力線のつなぎかえが始まる
A地球から13万キロメートルの地点で、磁力線
  のつなぎかえが始まります。
  外側からはプラズマが流れ込み磁力線は押さ
  れ、近づき、交差します。その交差する点で、
  磁力線がつなぎかわります。
 ※磁力線のつなぎかえ「磁気リコネクション}
   磁力線が引き伸ばされることで、互いに反対
   方向にある磁力線が近づきすぎて、つなぎ変
   わりがおこります。すると、磁力線は一気に
   ちぢんでプラズマが加熱され、加速されます
加速されるプラズマ
Bプラズマシートの磁場エネルギーは、一挙に運
 動エネルギーにかわります。プラズマは加熱さ
 れ、高速になって、地球側と尾部側に分かれて
 飛んでいきます。
 地球側に飛んだプラズマは、磁力線にそって極
 地に流れ込み、オーロラを光らせます。

 オーロラは時として、大ブレークアップすることもあります。オーロラの爆発の大きさ、爆発のメカニズムについては、まだ解明されていないようです。

6.オーロラ電子の加速機構

  さて、プラズマシートから大気に飛び込んでくる電子は、そのままのエネルギーだと、地上
2000kmくらいまでしか入ってこれません。プラズマシートより電離層の磁場は1000倍も強いのです。磁気圏の電子のエネルギーは300eV位なので、電離層までは到達できないのです。

 オーロラの上空に電場があれば、電子を加速することができます。
 地上2000〜10000km上空に「プラズマ二重層」と呼ばれるU字形をした上向きの電場が生じているのが発見されました。電子は電場の向きと逆の向きに加速されます

 すなわち、電子は、ここで磁力線に沿って下向きに数キロeVまで加速されて、電離層の中に突入できるのです。そして、ようやく、オーロラ放電がおこります。

 このプラズマ二重層が生じるメカニズムも、まだ謎のようです。
オーロラは、今も不思議がいっぱいの神秘に包まれた美しい現象のようです。



参考文献
オーロラ
太陽からのメッセージ
上出 洋介
山と渓谷社
Newton  2001 3 潟jュートン プレス
オーロラ ニール・デイビス著
山田 卓訳
地人書館
      
★上出洋介先生と一度だけお話させてもらったことがあります。(*^。^*)

  以前、先生の「オーロラを追いかけて」という本を読んでいらいの大ファンだったので大感激でした。
オーロラは神秘であると・・・今でもまだ解明されていないことも多いのだとか、
いえ、深く研究されていらっしゃるからこそ様々な問題や疑問も出てくるのでしょう! ! !
オーロラのことが解明される時は、地球のことも全てわかるときだと言われます。

熱い情熱とロマンをたくさん持っていらっしゃる素敵なオーロラ学者でいらっしゃると思いました。


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