生命とは?への挑戦

第1章.命のもと
C遺伝子

 遺伝子イコール染色体ではない染色体は、DNAが折りたたまれたものだが
 そのDNAは二重らせん構造をしており、2個の塩基が水素結合で結びついた
 ものがはしごの踏み段のような形になっている。
 その塩基対を構成する塩基はわずか
4種類だけである。
 
 
A:アデニン T:チミン G:グアニン C:シトシン  の塩基は、水素結合で結び
 ついているが、AはTと、そしてGはCとしか結合しない。そして、リン酸と糖の
 分子が交互につながった糸と結びついている。
 AとGは大型の分子で、TとCは小型の分子だ。大と小でペアになることで、2
 本の糸の間隔は等しくなっている。また、水素がAとTでは2つ、GとCは3つで
 つながっている。
 (右下の図参考)

ヌクレオチド・・・ひとつの糖と、ひとつのリン酸、そして塩基がひ
  とつが結びついたもので、DNAの基本単位となるもの。
  
塩基+糖+リン酸=ヌクレオチド
塩基対・・・・・・AはTと、そしてGはCと、かならずペアになる。
  例えば、
 
GTCACGAACと1本の糸側に並んでいれば塩基対の相手は
 
CAGTGCTTGと並ぶことになる。
水素結合・・・・水素結合とは分子間結合の1つで、分子間力と
  しては強い結合だが、共有結合に比べると10分の1以下。電
  子の偏りに由来する。この水素結合は生物にとって非常に重
  要なもので、タンパク質、核酸、脂肪、炭水化物などの物質が
  機能するためには、水素結合が大きな役割をしている。
  酸素−水素結合(O-H)他にも(N-H)や(F-H)などの電気陰
  性度の大きい原子との水素結合も電子の偏りに由来する。

            DNA分子の構造 (塩基対)
    A : アデニン   T : チミン    G : グアニン   C : シトシン  

 = C : 炭素
 = N : 窒素
 = H : 水素
 = O : 酸素
───水素結合

   1つの細胞の中のには、120億個の塩基の分子が2個1組で踏み段となり、60億段もの長いはしごをつ
   くっている。それが46本に分けられて、ヒストンに巻きつき染色体になるのだ。

   DNAの60億対の塩基の文字は、数百から数万文字がひとつのかたまりとなっている。そのかたまりが
   DNAのある部分にとびとびに10万種類並んでいる。この10万種類がそれぞれ、血や骨、髪や目の色の
   個体差や種の特長となって、子孫に伝達されていく。
 
   この10万種のひとつが、遺伝の単位である遺伝子になる。
   遺伝子とはなんであるかというと 「タンパク質をつくる暗号」 であり、10万の遺伝子は10万のタンパ
   ク質となる。
   そして何度も繰り返すが、その暗号はたった4つの塩基A : アデニン・T : チミン・G : グアニン・C : シト
   シンでつくられている。
  
   4つの中の
3つが1組となり1つのアミノ酸が作られているそうだ。作られるアミノ酸の種類は20種類
   このアミノ酸の繋がり方・組み合わせで、種類の違うタンパク質ができあがる。

細胞が分裂する時にDNAが折りたたまれて染色体になる。
右端は
二重らせん構造。それがヒストンというタンパク質のコイルに二周巻かれて、また次のコイルに二周まかれてと繰り返される。 (ひとつのヒストンにまかれた単位はヌクレオソーム)
このコイルがさらに巻かれて、クロマチン繊維と呼ばれる太い綱になる。さらにパイル状に束ねられてソレノイド構造になっている。
細胞分裂のときには、さらに大きく渦巻状に巻き取られて太い坊のようになり、
染色体となるようだ。
D暗号
   DNA上の塩基は3つが1組で、1種類のアミノ酸を意味する。この3つの塩基をコドンと呼ぶ。このコドンの
   並び順でアミノ酸のつながれ方がきまり、1種類のタンパク質が決定される。

   このコドンは全部で64種類ある。64種類のうちの61種類がアミノ酸の種類を決定し、残りの3種類は「読
   み終わり」を意味する暗号となる。また、61種類のうちの1種類は、「読み始め」を意味するものにもなる。

   64種類のコドンで、20種類のアミノ酸をあらわし、これを表にしたものはコドンの暗号表と呼ばれる。
   このコドンは、全ての生物に共通する暗号である。
   DNAそのものでは、タンパク質をつくれない。DNAからの情報を伝達させて、さらにタンパク質を合成させる
   ものがひつようとなる。DNAからの暗号をひとつも間違えることなく伝達させてこそ、正常なタンパク質がで
   きるのだ。ここでRNAが登場してくる。


     
2.RNA
@DNAとの比較
   RNAの基本単位も、塩基・糖・リン酸が1個ずつ結合したヌクレオチドである。違うのは、DNAの塩基がAGCT
   だったのが、T:チミンにかわって
U:ウラシルという塩基になっている。また、DNAの糖はデオキシリボースだ
   ったのが、RNAでは
リボースという糖である。
   また、RNAは1本の鎖でできていて、DNAと比較するとかなり短い
   しかし、ヌクレオチドがつながってできていることや、鎖の方向性があることなど、科学的にはよく似ていると
   ころが多い。
A転写
   タンパク質を合成する必要があると、DNAの必要とする遺伝子の部分のスイッチがオンになり、二重らせん
   構造がほどける。
そこへRNAポリミラーゼと呼ばれる酵素がついて、RNAを合成していく。この時、DNAの
   中にある不要なものが取り除かれる。真核生物のDNAの中には、タンパク質の合成には不必要・なんのた
   めにあるのかよくわからない塩基配列がたくさん含まれているらしい。RNAを合成する転写では、まずDNA
   のコードをそのまま写し取り、
イントロンと呼ばれる不要な部分を切り取り、エキソンと呼ばれるタンパク質の
   設計図の部分だけを繋ぎあわせる。この作業を
スプライシングという。

   こうしてできたものが、伝令RNA・メッセンジャーRNAだ。
B翻訳
   メッセンジャーRNAは、核膜のあちこちに空いている穴・核膜孔を通って書くの外に出る。そして、暗号翻訳
   機・リボソームと結合する。リボソームでメッセンジャーRNAの塩基配列・コドンが読み取られていく。
   これが翻訳という過程である。
   そこへ転移RNA・
トランスファーRNAが指示通りのアミノ酸を運んできて、どんどんつなげていく。このコンビに
   より、タンパク質の合成は滞りなく進んでいく。最後まで読み取られると、できあがったアミノ酸のつながりは
   リボソームから離れていく。
   後はこのアミノ酸が独特の化学結合をしていって、それぞれ固有のタンパク質の立体構造を組み立てる。 

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   簡単にDNAとRNAのしくみを書いたが、実際はかなり複雑なしくみから出来上がっているし、まだ多くの謎が
   残されている。生命とはなにか と問うことは果てしない挑戦へのようにも思える。しかし、DNAの研究を手
   がかりにして生命構築のシステムをデジタル面から理解できれば、それを基本にすえて、超複雑で神秘で
   ある生命の謎に少しでも迫れるのではないかと思う。
   
   
※DNA・RNAについてもう少し詳しく書きたかったが、かなりの量になる。分子生物学は、地球上の全生物
     がDNAという共通の情報システムを持つことを教えてくれた。それは、生命の過去にも未来にも繋がる
     切符でもある。今も素晴らしいい発見が次々と報告されており、この生命を解く鍵を手に入れようとする
     超ビッグな挑戦・研究はこれからさらに盛んになるだろう。


           参考文献

           「遺伝子DNA」           ── NHK出版
           
−1.生命の暗号を解読せよ−

           「Newton 図解DNA       ── ニュートンプレス
            
−生命の設計図− 

           「DNAとRNA」            ── ナツメ社
           岡村智弘著 成田佳應       

           「分子生物学」           ── 化学同人
           
著者代表小関 治男   

            




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