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 第3章  光合成のCO2の固定

1章、2章は光エネルギーを利用してATPにエネルギーを蓄え、還元力NADPHを作るしくみだったが、光合成は、これらを用いてニ酸化炭素を固定する炭素固定反応 (二酸化炭素が生物が使える有機物の形に固定される) までをいう。

 3.1 カルビン・ベンソン回路 

光化学系Tで合成されたNADPHとATP合成酵素で合成されたATPのもつエネルギーを利用し、大気中から吸収したCO2をカルビン・ベンソン回路反応で糖に変換する。

葉緑体の中で、チラコイド膜の電子伝達系で生成したATPとNADPHと無機リン酸を利用して、
ストロマ側では3単糖リン酸(グリセルアルデヒド3-リン酸.)や6単糖リン酸(フルクトース、グルコース)デンプンを合成する。

この反応は温度とCO
2濃度に影響されるが、光の強さには影響されなため、以前は暗反応と言われていた。

CO
2から直接に有機化合物が作られるのではなく、いくつかの酵素からなる複雑な循環経路であることが、カルビン(Calvin)とベンソン(Benson)によって明らかにされた。そのため、この過程をカルビン・ベンソン回路という。

この回路は、初期産物がC
3化合物の3-phosphoglyceric acid(ホスホグリセリン酸、PGA) なので、
C3光合成回路とも言われる。



 3.2 回路のしくみ 

カルビン・ベンソン回路反応は、葉緑体のストロマ側での反応である。

この反応はその回転に13種類の酵素の関与する複雑な回路であり、多糖に変換される系と、再び炭酸固定反応に使用される系が共存している。

@二酸化炭素の固定
気孔から取り込まれた6分子のCO2は、6分子のリブロースニリン酸 (
RuBP・・C5化合物)と結合して12分子のホスホグリセリン酸(PGA)となる。

ANADPH2とATPによる還元
ホスホグリセリン酸(
PGA
)はATPのエネルギーでリン酸化され、NADPH2で還元されて、グリセルアルデヒドリン酸(GAP)になる。このとき水(H2O)が生じ、葉緑体の外へ出される。

B糖の合成
グリセルアルデヒドリン酸(
GAP)のうち、2分子が回路から離れて、いくつかの過程を経てグルコース1分子が合成される。

CRuBPの再生
グリセルアルデヒドリン酸(
GAP)の残りは回路中にとどまって、いくつかの過程を経て、6分子のリブロースニリン酸(RuBP)に再生される。これらの反応が繰り返し行われる。

◆カルビン・ベンゼン回路の全体の式
       
6CO2+12H2O+光エネルギー →C6H12O6+6H2O+6O2

■多糖変換系収支式
      
6CO2+12NADPH2+18ATP→C6H12O6+12NADP++18ADP+18Pi

■多糖変換系収支のもっと詳しい式
    
6CO2+12NADPH+18ATPルクトース1,6-ニリン酸+12NADP++18ADP+16Pi
                       
(フルクトース1.6-ビスリン酸)

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この回路の中核である炭酸固定反応を担うリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ (RubisCO) は、この世でもっとも存在量の多い酵素であると言われている。

いくつかの酵素(RubisCOも含む)が光によって活性化されるために、夜間は炭酸固定活性が低下する。

二酸化炭素が固定されるたびに炭素の数は増えるので、全てをリブロースニリン酸(RuBP
)に再生する必要はない。
残りは、葉緑体の中でデンプンに変えられたり (デンプンが合成される際は、フルクトース6-リン酸が利用される)、細胞質に送られてショ糖に変えられる。 (下図参考↓)

二酸化炭素が6分子、カルビン・ベンソン回路で固定されると (炭素固定反応に使用される系が6回転すると)、糖新生系に組み込まれるのに十分な炭素が供給される。

 3.3  変換系の式

炭酸固定反応系

  ※ (CX)は糖の炭素数

@リブロース1,5-ニリン酸 (RuBP.C5)+CO2 → 3-ホスホグリセリン酸 (PGA .C3×2)

A3-ホスホグリセリン酸 (PGA.C3)ATP → 1,3-ビスホスホグリセリン酸 (C3)ADP

B1,3-ビスホスホグリセリン酸 (C3)
NADPH2 → グリセルアルデヒド3-リン酸 (GAP .C3)
  
NADP+Pi

◇グリセルアルデヒド3-リン酸(GAP)から4つの反応がおこる

                                           
 

Cグリセルアルデヒド3-リン酸 (C3)+
セドヘプツロース7-リン酸 (C7) → リボース5-リン酸 (C5)+
 キシルロース5-リン酸
(C5)

Dグリセルアルデヒド3-リン酸 (C3) → ジヒドロキシアセトンリン酸 (C3)

Eグリセルアルデヒド3-リン酸 (C3)+ジヒドロキシアセトンリン酸 (C3) → フルクトース1,6-ビスリン
  酸(C6)

Fグリセルアルデヒド3-リン酸 (C3)+フルクトース6-リン酸 (C6) →
エリトロース6-リン酸 (C4)+
  キシルロース5-リン酸 (C5)

 ※上のDの反応は葉緑体外部へ輸送されるジヒドロキシアセトンリン酸を合成する反応であり、輸
   送には3回転を要する。

 ※
Eは多糖変換系に続く反応だが、6回転分の炭素固定数に足りなければ、フルクトースがC
   反応へ回される。

ジヒドロキシアセトンリン酸
からの反応。

G葉緑体外部への輸送

Hフルクトース1,6ビスリン酸合成反応(3.の反応)

Iジヒドロキシアセトンリン酸 (C3)+エリトロース6-リン酸 (C4) → セドヘプツロース1,7-ビスリン
  酸
(C7)。

◇セドヘプツロース1,7-ビスリン酸は、
セドヘプツロース7- ビスリン酸 (C7)
になる反応に組み込まれて、
上のCグリセルアルデヒド3-リン酸の反応に入る。

Jドヘプツロース1,7-ビスリン酸 (C7) → セドヘプツロース7- ビスリン酸 (C7) + Pi

◇上のCで合成される
リボース5-リン酸およびキシルロース5-リン酸はそれぞリブロース5-リン酸に変換される。

Kリボース5-リン酸 (C5) → リブロース5-リン酸 (C5)

Lキシルロース5-リン酸 (C5) → リブロース5-リン酸 (C5)

◇リブロース5-リン酸は、再び炭酸固定反応に組み込まれる。

Mリブロース5-リン酸 (C5) + ATP → リブロース1,5-ビスリン酸 (C5) + ADP


多糖変換系

@D-リブロース1,5-ビスリン酸×6 (C30)+6CO2 → 3-ホスホグリセリン酸×12 (C36)

A3-ホスホグリセリン酸×1212ATP → 1,3-ビスホスホグリセリン酸×12 (C36) 12ADP

B1,3-ビスホスホグリセリン酸×1212NADPH
2 → グリセルアルデヒド3-リン酸×12 (C36)+2NADP+
 +
12Pi

Cグリセルアルデヒド3-リン酸×6 → ジヒドロキシアセトンリン酸×6 (C18)

Dグリセルアルデヒド3-リン酸×6 (C18)+ ジヒドロキシアセトンリン酸×6 (C18) → フルクトース1,6-ビ
 スリン酸×6 (C36)


Eフルクトース1,6-ビスリン酸×6 → フルクトース6-リン酸×6(C30→@ C6→糖新生系)


                         
カルビン・ベンソン回路


カルビン・ベンソン回路反応に使用される13の酵素

リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ
◇ホスホグリセレートキナーゼ 
◇グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ 
◇グリセルアルデヒド3-リン酸:セドヘプツロース7-リン酸トランスケトラーゼ.
◇トリオースリン酸イソメラーゼ
◇グリセルアルデヒド3-リン酸:ジヒドロキシアセトンリン酸アルドラーゼ
◇グリセルアルデヒド3-リン酸フルクトース6-リン酸トランスケトラーゼ
◇ジヒドロキシアセトンリン酸:エリトロース4-リン酸アルドラーゼ.
◇セドヘプツロースビスホスファターゼ .
◇リボース5-リン酸イソメラーゼ 
◇キシルロース5-リン酸エピメラーゼ
◇5-ホスホリブロキナーゼ

フルクトースビスホスファターゼ


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