生命とは?への挑戦

第1章.命のもと

生命とは何か・・・これはまだ定義されてはいない。

しかし、生命の持つ特徴としては幾つかあげられる。まず、自己複製を行うこと。
そして、物質代謝をおこなうことである。また、下界との仕切りを持っていることも挙げられる。

それらの機能を担うのが、タンパク質と核酸である。それは、アミノ酸や核酸塩基、糖からできているが、
それらの有機分子がどこで生れたかについては、第一章の宇宙からやってきた説、
深海底の鉱物が作用したという説、古代の海のところで書いた海底熱水噴出孔で生れた説など、
様々な説があるが、どれも可能性がありそうで、素晴らしいく面白い。

もしかしたら、これらの説に全て共通する何かがあるのかも知れない。。。


1.RNAワールド

 米国のソルク研究所のオルガー博士によると、40億年〜38億年前に、RNAによるシンプルな生命体が存在していたという。
 タンパク質までも、このRNAは作り出せるという。RNAは、原子の海に満ちていた猛毒の青酸(シアン化水素)などの元素から生れた塩基と糖、そして海底熱水噴出孔から吹きだしたリン酸が結合してできている。

 まず、リボースという糖とリン酸が交互につながった鎖に、4種類の塩基
(アデニン・グアニン・シトシン・ウラシル)が結合してRNAを形成した。やがて、自己複製を行う能力や、浮遊するアミノ酸を集めたんぱく質をつくりだせるものが発生し、やがてRNAに基づいた生命体の世界をつくったのだという。

  
 
窒素・一酸化炭素・二酸化炭素・水・・・・・原子大気の成分
                    
              
 ←衝撃波(雷・紫外線放射など)
            
     
シアン化水素・ホルムアルデヒド・・・・・アミノ酸の原料
             
              
 ←宇宙から降り注ぐ有機物(アミノ酸・キノンなど)
   
      〜     〜    〜     〜    〜    〜    〜    〜    
   
 〜    〜   〜   〜  海 中 ↓ 〜   〜   〜   〜  
 
     
リン酸・核酸塩基・リボース・・・・・マグマから噴き出した硫化水素(リン酸)
                         
核酸塩基(アデニン・グアニン・シトシン・ウラシル)
              
          リボース(糖) 
 
          
ヌクレオチド・・・・・・・・・・塩基・糖・リン酸が1個ずつ結合したもの
              
 
            RNA・・・・・・・・・自己複製やポリペフチドの合成
                           (ヌクレオチドが繋がったもの)

2.DNAワールド
    

 やがてRNAとタンパク質が脂質の膜に包まれて、原子細胞が生れた。そして、RNAは化学的により安定したDNAを作り出した。遺伝情報はDNAが持ち、体やエネルギー代謝はタンパク質、両者の仲介はRNAが行うシステムが出来上がり、現在の生物が暮らすこの世界での、各生物の性質を特徴付けるものとなっていった。 

 この世界の生物は、全てこのDNAを中心とした仕組みからできあがっているようだ・・・つまり、地球上の生物 全ての仕組みを解き明かす共通の暗号があるということである。生命誕生も生命の進化の過程も、まだ謎に包まれているが、暗号を解く鍵が手に入りつつあるのだと思う。
 DNAという共通の暗号を持つことから、生命がたったひとつの生命から分岐してきたのかも知れないと言われているけれど、ある時期に発生した生命群が複雑に入り交ざって進化してきたという形跡もあるようだ。今、言えることは、私は、今ここにこうしてひとつの生命の固体として存在しているということだ。


 ※DNA
   RNAを作る塩基は
アデニン・グアニン・シトシン・ウラシルのAGCUだったが、DNAをつくっている塩基
   はアデニン(A)・グアニン(G)・シトシン(C)・チミン(T)の4つで、ウラシルがチミンに変わっている。
   タンパク質は、20種類のアミノ酸からできているが、このアミノ酸は、4種類の塩基のうちの3つの組
   み合わせで決まってくる。そして、このアミノ酸の並ぶ順番で、タンパク質の形と働きが決定される。


   
D N A  と  R N A
核酸 DNA(デオキシリボ核酸)
塩基−糖−リン酸
RNA(リボース)
塩基−糖−リン酸
塩基   A アデニン
  G グアニン
  C シトシン
  T チミン
  A アデニン
  G グアニン
  C シトシン
  U ウラシル
S sugar S sugar
リン酸 P phosphate P phosphate
       
         ※ヌクレオチド=塩基・糖・リン酸が1つずつ結合したもの=1単位
 
            ※核酸(DNA・RNA)=ヌクレオチドが鎖のように繋がったもの
                   
                 核酸(DNA)の分子構造
                  P    P    P     P 
                / \ / \ / \ / \
                    S    S    S    
                     |    |    |
                    T    C    G
                    A     
G     C     ◇RNAだとTに変わりUとなる
                    |    
    |
                    S   
 S    S
                \ / \ 
 \ / \ /
                  P    
P    P     P   
                      ↑
                   ※ヌクレオチド
                    

3.40億年前の地球・・・生命が誕生した原子の海

 40億年前ごろになると、プレートが作られ始めたといわれている。

地球に最初の生命が生れたのもこの頃だという。マントルが上昇してくるところでは、マグマが冷えて海洋プレートが作られた。今でも、この
中央海嶺と呼ばれるところからはマグマが湧き出して玄武岩質の新しい海底を作り出しており、両側へ次々と移動している。このことは、プレートテクニクスの証拠となった。

また、海洋プレートが沈み込む場所では、引きずり込まれた含水鉱物中の水が放出されて、マントルを部分的に溶かしマグマが生じる。 このマグマが上昇して、花崗岩で代表される大陸プレートを形成していった。

中央海嶺の割れ目近くでは、熱水噴出孔ができた。割れ目からしみこんだ海水は、マグマにより温められ、金属イオンや硫化水素を溶かし込んで、熱水噴出孔から再び噴出してくるのだ。
なんと、このような過酷とも思える場所で、最初の生命が誕生したと言われている。


確かに熱水噴出孔は、海水中の有機分子と金属イオンが反応しやすい、高温、高圧の場所であった。こうしてできた、有機物質が、どういうプロセスで、なにをきっかけとして生命になりえたのかはわからないが、生命の誕生した環境がこうであったということが、よりリアルに再現されようとしている。



           参考文献

           「生命の起源と進化」   ── 日経サイエンス

           「Newton 地球大解剖」 ── ニュートンプレス


           「DNAとRNA」        ── ナツメ社
           岡村智弘著 成田佳應             

       



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